通過するだけで高精度な本人確認
松下電器産業株式会社のパナソニックシステムソリューションズ社は、2005年より開始した、総務省の研究開発プロジェクト「ユビキタスセンサーネットワーク技術に関する研究開発」のテーマのひとつである「高精度人物認知技術の開発」の成果として、国内初となる「ウォークスルー虹彩認証システム」の開発を発表した。
目の虹彩の放射状の模様を利用した「虹彩認証」方式を採用し、200万画素のメガピクセルカメラを複数用いて、1.2mの距離から虹彩を撮影。撮影範囲を広く確保することで、装置に目の位置を合わせる動作を不要にした。
目領域の濃淡情報から作成したテンプレート画像と入力画像を活用する「テンプレートマッチング方式」を基に、新たに開発した「目位置検出方式」を導入し、高画素画像に対応。目周辺の画像だけを抽出して効率的に認証処理を行い、認証所要時間2秒以下を実現した。利用者が歩いて通過するだけで、迅速でありながらも、高精度な人物確認が可能となる。
「虹彩認証は、生体認証の中でも極めて高い精度が特徴です。指紋や顔による認証では、他人受入率がそれぞれ千分の1、百分の一であるのに対し、虹彩認証は120万分の一以下と、静脈認証に匹敵します。非接触に加え、離れた位置からでも、立ち止まることなく、人物確認ができ、安全性と利便性が大きく向上しました」(同社経営企画グループ コミュニケーションチーム・遠田氏、以下同)。
ウォークスルーでの認証時は、装置を二基使用し、その間を通り抜ける構成で、設置には、幅1.6m、奥行き2mのスペースを要する。一基での単体動作も可能。「現在はデモ機で、商品化には至っておりませんが、まずは空港の搭乗ゲートや入国審査、従業員の入退室管理への設置を検討しております。北米の空港では既にセキュリティ強化が進んでおり、今後、ニーズは世界的に高まっていくでしょう」
小型化とコストダウンを図り、将来的には、ビルやオフィスへの設置も視野に入れる。「小型化を進めつつ、市場要件に対応するべく、アドホックネットワークの形成にも取り組んでいく予定です。また、虹彩認証と顔認証など、各々の技術を組み合わせることで、より高精度で利便性に富んだ、複合的な認証システムの開発を目指していきます」とのこと。
指紋や顔、静脈、虹彩を始め、掌形や声紋、署名など、生体認証の方式は様々。安全性と利便性のみならず、適応分野やコスト、利用者の容認性も踏まえ、各方式の利点を掛け合わせることが、市場への導入拡大のひとつの鍵となりそうだ。